学習塾のウェブ戦略入門その1!〜チラシ広告とウェブ広告を使用して、集客数を最大化する方法(前編)〜

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生徒数を増やすための4つのフェーズ

商売をやっていくにあたって避けて通れないこと、それが集客です。 どんなに美味いラーメンを出す店があったとしても、食べてくれる相手=お客様がいなければ意味がありません。 これと同じで、どんなに分かりやすい授業をし、誰よりも生徒の成績を上げる先生がいたとしても、教える相手=生徒がいなければ、それはただの自己満足になってしまうのです。

そこで問題です。 どうすれば、多くのお客様=生徒を集めることができるでしょうか?

いきなり大きな問いです。 あらゆる商売にとって永遠の課題でもあります。 少しこの問いを分けて考えてみましょう。

  1. どのように、多くの生徒(あるいは保護者)に○○塾の存在を知ってもらうか?=認知の問題
  2. ○○塾の存在を知ってもらった生徒に、自塾の魅力・強みをどのように伝えられるか?=興味の問題
  3. ○○塾に興味を持った生徒に、どのように自塾に問い合わせをしてもらうか?(あるいは実際に足を運んでもらうか)=検討の問題
  4. ○○塾に足を運んでもらった生徒を、どのように入塾につなげるか?=クロージングの問題

こうして分解してみると、生徒が入会まで行き着くためには、ざっくりと、 認知→興味→検討→クロージングの4つのフェーズを辿る ことが分かります。 (マーケティングでは、AIDA・AIDMA・AISAS・DECAXなど様々なモデルがありますが、大雑把に言えばどれも認知をしてから購入に至るまでの法則を表したものです。)

このうち4.クロージングの問題は、初回来校時のサービス紹介、体験授業、各種割引キャンペーン等クロージング向け訴求など、○○塾が日常的に提供しているサービスとほぼイコールですので、一旦今回のテーマからは外します。(もちろんサービスこそ最も重要な点なので、各塾の強みを活かして日々クオリティを向上すべき点ではあります。 ラーメン屋は味が命、○○塾は△△が命!と言い切れるものは絶対に必要 です)

さて、広告戦略およびウェブ戦略というアプローチで考えたいのは、1〜3の問いになります。 特にウェブ戦略入門第1回目の今回は、1の問いである 認知の問題 に焦点を絞ってみましょう。

限られたリソースの中で選択と集中を行う

どのように通塾圏のターゲット層に、○○塾を認知してもらうか? そして、いかに集客につながるような認知を最大化するか?

認知してもらうための施策はいくらでもあります。 例えば、

  • 毎日、顧客ターゲットとなる学校の校門前や駅の近くでDH(ダイレクトハンド・チラシ配り・門配・駅配など呼び方は様々です)を行う。
  • 通塾圏のマンションなどにポスティングを行う。
  • 見込み電話リストに1件1件電話をかける。
  • 住所リストがあるのであればハガキを送る。
  • メールアドレスリストがあればDMを送る。

などなどなど・・・

しかし、 リソース(人手・資金)には限りがあります。 全方位的に認知施策を実施することは、本業(塾本来の授業やサービス)の疲弊という負の要素をもたらすことが考えられます。 味の落ちたラーメン屋に、お客様が訪れることは二度とありません。 募集活動に疲れ果てた先生の授業・・・ちょっと想像したくないですよね。 限られたリソースの中で、何をやるか、何をやらないかを明確にすべき です。

データに基づいたPDCAを回す

では、何をすればいいのか。 ここでのポイントは 認知の「最大化」 です。 「最大化」を言い換えれば、ある活動を繰り返すことで最大数に近づけていく、ということです。 つまり、認知施策の中でPDCAを回し改善を加え、徐々に最大数を目指していく=最大化させることになります。 重要なのは、PDCAを回すこと。それも 感覚ではなくデータという根拠に基づいたPDCAが回せるかどうか 、という点です。

例えば、

ある日、チラシAを学校前や駅前で500枚配布したとします。 その日の夕方に体験希望の生徒が1名来校しました。 また別のある日、チラシBを同じように500枚配布しました。 その日は体験希望が1名も来校しませんでした。

さて、この時、 チラシAのデザインや訴求がチラシBよりも優れていたと言えるでしょうか? チラシAの方がチラシBよりも優れている!・・・これはかなり乱暴な結論ですよね。 サンプル数が少なすぎる上、体験来校というかなり極端なCV(申込)ポイントでしか判断ができません。さらに言えば、本当にこの体験生はチラシを見てきたのでしょうか。この辺りも非常に曖昧です。

ここで、チラシにちょっと工夫をしてみましょう。

○○塾の近くにあるX高校の校門前配布向けに、チラシAとチラシBを作成しました。 チラシAは、合格実績を中心に掲載しました。X高校から難関大学に合格した先輩の体験記も掲載しています。 チラシBは、X高校向けの補習授業などフォローアップの手厚さを中心に掲載しました。合格実績はあえて掲載しませんでした。 また、チラシA・B両方に、○○塾のウェブサイトに飛べるQ Rコードを大きめに掲載しました。○○塾の資料の請求や無料体験授業に申込みができることも付記しました。 そして、ある月の1週目・2週目の同じ曜日にチラシA・チラシBを500部ずつ、校門前で配布しました。

さてその結果は・・・?

セッション数資料請求・無料体験申込数
チラシA250
チラシB352

上記は、チラシA・BについてのGoogleアナリティクスの計測結果です。Googleアナリティクスでは表のように、 チラシからどのくらいのユーザーがサイトにアクセスしたのか 、そのうち どれくらいのユーザーが資料請求や無料体験申込などに申し込みをしたのか を閲覧することができます。この指標以外にも、どのくらいの時間サイトを閲覧していたのかや、サイト内で別のページを閲覧せずに直帰してしまったのか、なども計測することができます。

実は、X高校で配布したチラシのQRコードには パラメータ という識別コードを仕込んでいて、それによりこのような計測が可能になるのです。

さて、セッション数や資料請求・無料体験申込数から、どうやらこのX高校では、チラシAよりもチラシBのアプローチの方が、効果が高そうだということが分かります。

申込数もそうですが、セッション数がチラシAよりもチラシBの方が多いということは、それだけユーザーがBの内容に興味関心を持ったということでしょう。 具体的には、合格実績よりも手厚いサポートの訴求の方が、より生徒たちの興味関心に近かったということ だと思います。

この次にチラシを作成する際には、手厚いサポートという大きな訴求軸をさらに細分化し、各訴求要素をテストしてみると良いでしょう。例えば、「X高校専用の補習講座」、「X高校専用の定期テスト対策」、「X高校のカリキュラムに合わせた個別指導」など 何パターンかの訴求要素を用意し 、上記と同じように門配を実施します。そして同じように、 Googleアナリティクスで分析を行う のです。

細かい分析作業ではありますが、 着実にユーザーのニーズに沿った訴求軸を広告に盛り込むことができるようになり、PDCA を回すことで集客数を最大化できる はずです。 また、サイトへのアクセスはQRコードだけとは限りません。GoogleやYahooで直接検索をすることも考えられます。チラシを配布した日には、Googleアナリティクスで、 オーガニック流入数 も確認すると良いでしょう。検索エンジン経由での自然流入のインパクトも、当然加味する必要があります。

まとめ

第1回目の今回は、チラシ広告で集客数を最大化する方法について考えてきました。ポイントは以下の通りです。

  • 「最大化する」ためには、データ的な根拠に基づいたPDCAを回すことが重要
  • チラシ広告は訴求軸を複数用意しABテストを実施することで、ユーザーのニーズに合わせていく
  • チラシ広告にはパラメータの入ったQRコードを掲載し、Googleアナリティクスで分析を行う
  • チラシ配布実施日には、検索エンジンからのオーガニック流入数も確認する

広告からの反響を分析すると、意外な結果が見えてくることがあります。「X高校は合格実績にはあまり反応しない」「Y大学の合格実績を掲載したら反響がとても良かった」「定期テスト対策へのニーズが高い」など、今までの経験とは異なる訴求軸が発見できるかも知れません。

分析は根気のいる作業ですが、 限られたリソースの中で集客効率を上げ、集客数を最大化するためには、データドリブン的なアプローチが必要不可欠です。

eduadでも、サイト構築や計測環境設定などの支援業務を行なっていますので、お気軽にご相談ください。

次回は、 ウェブ広告を使った集客最大化 について記載したいと思います。

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